「指定難病」という言葉をニュースや病院で耳にしたことがあっても、
「普通の難病とは何が違うの?」
「指定難病になると医療費が無料になる?」
「どんな病気が対象なの?」
と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
指定難病とは、難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)に基づき、一定の要件を満たすものとして国が指定した疾病です。
指定難病の患者で、症状の程度など一定の基準を満たした場合には、医療費助成を受けられる制度があります。
ただし、指定難病と診断されたからといって、すべての人の医療費が自動的に無料になるわけではありません。
この記事では、指定難病とは何なのか、一般的に「難病」と呼ばれるものとの違いや、指定難病になるとどうなるのかをわかりやすく解説します。
指定難病とは?
指定難病とは、難病法で定められた「難病」のうち、さらに一定の要件を満たし、医療費助成の対象として国が指定した疾病です。
難病法における「難病」は、簡単にまとめると、
- 発病の仕組みが明らかでない
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾病である
- 長期にわたり療養を必要とする
といった条件を満たす疾病を指します。
そして、この「難病」の中から、患者数などさらに一定の要件を満たしたものが「指定難病」となります。
つまり、
難病の中に「指定難病」がある
と考えるとわかりやすいでしょう。
指定難病と難病の違いは?
「難病」と「指定難病」は、まったく同じ意味ではありません。
大きな違いは、指定難病は難病法に基づく医療費助成の対象として指定されている疾病であることです。
| 比較 | 難病 | 指定難病 |
|---|---|---|
| 意味 | 難病法の要件を満たす疾病 | 難病のうち国が指定した疾病 |
| 医療費助成 | すべてが指定難病の助成対象とは限らない | 一定の認定基準を満たせば対象 |
| 指定 | 「難病」という疾病の範囲 | 厚生労働大臣が指定 |
| 患者数等の要件 | 難病としての要件がある | さらに指定難病としての要件がある |
そのため、「治療が難しい病気だから必ず指定難病になる」というわけではありません。
また、日常会話で使われる「難病」と、難病法上の「難病」では意味が異なる場合がある点にも注意が必要です。
指定難病になる条件とは?
指定難病は、単に「治療が難しい」という理由だけで決められるわけではありません。
難病法上の難病のうち、指定難病として医療費助成の対象になる疾病については、さらに、
患者数が本邦において一定の人数に達しないこと
客観的な診断基準が確立していること
などの要件があります。
専門家による検討などを経て、厚生労働大臣が指定します。
したがって、知名度が高い病気かどうかではなく、法律で定められた要件に該当するかどうかがポイントになります。
指定難病にはどんな病気がある?
指定難病には、神経・筋疾患、免疫疾患、消化器疾患、循環器疾患、血液疾患など、さまざまな分野の疾病があります。
代表的なものとして知られている疾病には、
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- パーキンソン病
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 全身性エリテマトーデス
- 多発性硬化症/視神経脊髄炎
- 重症筋無力症
などがあります。
ただし、指定難病の対象疾病は制度改正などによって追加・変更されることがあります。
自分や家族の病気が現在の指定難病に該当するか知りたい場合は、厚生労働省や難病情報センターなどで最新の対象疾病一覧を確認しましょう。
指定難病になるとどうなる?
指定難病について多くの人が気になるのが、
「指定難病になると何が変わるの?」
という点でしょう。
大きなポイントが医療費助成制度です。
指定難病の患者で一定の認定基準を満たし、申請して認定されると、指定難病に関する医療について自己負担額の軽減を受けられます。
長期間の治療が必要になる患者や家族にとって、医療費の負担を軽減する重要な制度です。
ただし、指定難病の患者であれば無条件に全員が同じ助成を受けられるわけではありません。
指定難病になると医療費は無料?
ここは誤解されやすいポイントです。
指定難病と認定されたからといって、医療費がすべて無料になるわけではありません。
医療費助成の認定を受けると、対象となる医療について自己負担割合や月ごとの自己負担上限額が設定されます。
自己負担上限額は、所得状況などによって異なります。
また、助成の対象になる医療とならない費用があるため、
「指定難病=病院代が一切かからない」
という理解は正確ではありません。
実際にどれくらい負担が軽減されるかは、所得や治療内容などによって変わります。
指定難病と診断されれば自動的に助成される?
指定難病と診断されただけで、自動的に医療費助成が始まるわけではありません。
基本的には、必要な書類をそろえて都道府県・指定都市などの窓口へ申請し、認定を受ける必要があります。
また、医療費助成には疾病ごとに定められた重症度の基準などがあります。
一方で、重症度の基準を満たしていない場合でも、一定以上の医療費がかかっているケースでは「軽症高額」に該当し、助成対象となる場合があります。
「自分は症状が軽いから対象外だろう」と自己判断せず、主治医や自治体の担当窓口に確認することが大切です。
指定難病の医療費助成を受けるには?
具体的な申請方法や必要書類は自治体などによって確認が必要ですが、一般的には、
- 指定医を受診する
- 診断書(臨床調査個人票)など必要な書類を用意する
- 自治体の窓口へ申請する
- 審査を受ける
- 認定後、医療受給者証の交付を受ける
といった流れになります。
申請には診断書のほか、保険資格や所得状況などを確認する書類が必要になる場合があります。
制度や必要書類が変更される可能性もあるため、実際に申請するときは住んでいる都道府県・指定都市などの最新情報を確認してください。
指定難病になったら仕事は続けられる?
「指定難病と診断されたら仕事を辞めなければならないのでは?」
と心配する人もいるでしょう。
しかし、指定難病だからという理由だけで仕事を続けられなくなるわけではありません。
同じ疾病でも症状や治療方法、生活への影響には個人差があります。
体調や仕事内容によっては、
- 通院しやすい勤務時間にする
- 時差出勤を利用する
- テレワークを利用する
- 業務内容を調整する
など、職場と相談しながら働き続けられる場合があります。
就労について困った場合には、医療機関だけでなく、難病相談支援センターやハローワークなどの支援機関に相談する方法もあります。
指定難病は治らない病気という意味?
「指定難病=絶対に治らない病気」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、指定難病という名称だけから、個々の患者の将来や治療結果を一律に判断することはできません。
疾病によって症状、進行、治療法は大きく異なります。
治療によって症状をコントロールしながら生活できるケースもあります。
また、医学は進歩しており、新しい治療法や治療薬の研究も続けられています。
具体的な病気の経過や治療については、インターネット上の一般的な情報だけで判断せず、主治医に確認することが重要です。
指定難病についてよくある疑問
指定難病になると障害者手帳をもらえる?
指定難病に認定されたことだけで、自動的に障害者手帳が交付されるわけではありません。
障害者手帳には別の認定基準があります。
病気によって身体機能などに一定の障害がある場合には、基準を満たすことで対象になる可能性があります。
指定難病になると障害年金をもらえる?
こちらも自動的にもらえるわけではありません。
障害年金は、病名だけではなく、障害の状態や保険料納付要件など所定の条件に基づいて判断されます。
指定難病であっても障害年金の対象にならない場合がある一方、条件を満たせば受給できる可能性があります。
指定難病は生命保険に入れない?
指定難病だから一律にすべての生命保険へ加入できないとは限りません。
加入できるかどうかは、病気の種類や現在の症状、治療状況、保険会社や商品の引受基準などによって異なります。
通常の保険への加入が難しい場合でも、引受基準緩和型の商品などが選択肢になることがあります。
まとめ|指定難病とは国が指定した難病のこと
指定難病とは、難病法で定められた難病のうち、患者数など一定の要件を満たし、医療費助成の対象として国が指定した疾病です。
ポイントをまとめると、
- 「難病」と「指定難病」は厳密には同じではない
- 指定難病には法律上の要件がある
- 一定の認定基準を満たせば医療費助成を受けられる
- 指定難病になっただけで医療費がすべて無料になるわけではない
- 診断されたら自動的に助成が始まるわけではなく、原則として申請が必要
- 指定難病だからといって障害者手帳や障害年金が自動的に認められるわけではない
という点を押さえておくとよいでしょう。
指定難病の制度や対象疾病は変更されることがあります。
自分や家族が対象になる可能性がある場合は、厚生労働省、難病情報センター、住んでいる自治体などの最新情報を確認し、主治医や担当窓口へ相談してください。
※本記事は指定難病制度についての一般的な情報を解説したもので、個別の診断や治療、医療費助成の認定可否を判断するものではありません。


