ニュースなどで、公務員や教職員の不祥事について、
「戒告処分とした」
「職員を訓告した」
と報じられることがあります。
どちらも注意を受けるようなイメージがありますが、
「戒告と訓告は何が違うの?」
「どちらの処分が重い?」
「給料や昇進に影響する?」
と疑問に思う人も多いでしょう。
結論からいうと、一般的に「戒告」は法律などに基づく懲戒処分で、「訓告」は懲戒処分に至らない場合に行われる注意・指導措置として使われます。
そのため、公務員の処分などでは基本的に戒告のほうが重いと考えると分かりやすいでしょう。
ただし、「訓告」の位置づけや名称は組織によって異なる場合があります。
この記事では、戒告と訓告の違いや処分の重さ、給与・昇進などへの影響について分かりやすく解説します。
戒告と訓告の違いは?
まず、戒告と訓告の大きな違いは、正式な懲戒処分に当たるかどうかです。
国家公務員の場合、国家公務員法では懲戒処分として、
免職・停職・減給・戒告
の4種類が定められています。
このうち戒告は正式な懲戒処分の一つです。
一方、「訓告」は国家公務員法に定められた懲戒処分の種類には含まれていません。
一般的には、正式な懲戒処分を行うほどではないものの、問題のある行為について本人に注意を促し、将来を戒めるために行われる措置として使われます。
つまり、簡単に表すと、
戒告=正式な懲戒処分
訓告=一般に懲戒処分より軽い注意・指導上の措置
という違いがあります。
戒告と訓告はどちらが重い?
一般的には、戒告のほうが重い処分です。
公務員を例にすると、懲戒処分の重さはおおむね、
免職 > 停職 > 減給 > 戒告
という順番になります。
戒告は、この中では最も軽い懲戒処分です。
しかし、「一番軽いから大した処分ではない」という意味ではありません。
正式な懲戒処分であることに変わりはありません。
一方、訓告は通常、懲戒処分に至らない場合の措置として扱われるため、
免職
↓
停職
↓
減給
↓
戒告
↓
訓告などの注意措置
というイメージで考えると分かりやすいでしょう。
ただし、これは一般的な整理です。自治体や企業、学校などによって制度や名称、運用方法が異なるため、すべての組織で同じ序列になるとは限りません。
戒告とは?
「戒告(かいこく)」とは、本人の問題行為について責任を確認し、将来を戒める処分です。
例えば国家公務員については、国家公務員法第82条に基づく懲戒処分として位置づけられています。
懲戒処分の中では最も軽いものですが、正式な処分です。
ニュースで、
「○○職員を戒告処分とした」
と報じられた場合には、単に上司から口頭で注意されたという程度ではなく、組織として正式な懲戒処分が行われたことになります。
訓告とは?
「訓告(くんこく)」とは、一般的に、本人の問題行為について注意を与え、今後同じようなことを起こさないよう戒める措置です。
戒告と似ていますが、重要なのは、法律上の懲戒処分としての戒告とは位置づけが異なるという点です。
国家公務員法の懲戒処分には「訓告」という種類はありません。
そのため訓告は、組織内部の規程などに基づいて行われる注意・指導的な措置として使われることがあります。
「厳重注意」「文書注意」などと近い位置づけで運用されるケースもあります。
ただし、訓告・厳重注意・文書注意などの名称や重さは組織によって異なるため、一律には判断できません。
戒告と訓告の違いを表で比較
違いを簡単に整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 戒告 | 訓告 |
|---|---|---|
| 一般的な重さ | 重い | 軽い |
| 懲戒処分 | 該当する場合がある(国家公務員では該当) | 通常は該当しない |
| 目的 | 責任を確認して将来を戒める | 注意・指導して将来を戒める |
| 給料への直接的な減額 | 通常なし | 通常なし |
| 人事上の影響 | あり得る | 組織の規程・運用による |
| 法律上の位置づけ | 国家公務員法などに規定 | 組織内部の措置として扱われることが多い |
ポイントは、**「戒告も訓告も給料を直接減らす処分とは限らないが、正式な懲戒処分かどうかに大きな違いがある」**ということです。
戒告を受けると給料は減る?
戒告について、
「給料を減らされるの?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
戒告そのものは、一般的に給与を直接減額する処分ではありません。
給与を一定期間減らす処分としては「減給」があります。
そのため、
戒告=給料を直接カットされる
というわけではありません。
ただし、戒告は正式な懲戒処分なので、人事評価や昇給などに影響する可能性はあります。
実際にどのような影響が生じるかは、所属する組織の人事制度や規程によって異なります。
訓告を受けると給料は減る?
訓告についても、通常はそれ自体が直接給与を減額する処分というわけではありません。
しかし、
「訓告なら何の影響もない」
とも限りません。
組織によっては記録が残ったり、その後の人事評価などで考慮されたりする可能性があります。
そのため、具体的な影響については、それぞれの組織の規程を確認する必要があります。
戒告と厳重注意の違いは?
「戒告」と一緒にニュースで登場しやすい言葉に「厳重注意」があります。
一般的には、
戒告=正式な懲戒処分
厳重注意=懲戒処分には至らない注意措置
という違いがあります。
そのため、一般的な公務員の処分をイメージするなら、戒告のほうが重いと考えられます。
ただし、「厳重注意」という名称についても法律で全国一律の処分内容が定められているとは限らず、組織によって扱いが異なる場合があります。
戒告と譴責(けんせき)は何が違う?
民間企業では「戒告」のほかに「譴責(けんせき)」という言葉が使われることがあります。
譴責とは一般的に、従業員の問題行為を戒め、始末書などの提出を求める懲戒処分として就業規則に定められていることがあります。
ただし、民間企業の懲戒処分については、会社ごとの就業規則によって種類や内容が異なります。
そのため、
「戒告と譴責では必ずこちらが重い」
と全国共通のルールで決まっているわけではありません。
会社員の場合には、勤務先の就業規則を確認することが重要です。
公務員と会社員では意味が違うこともある
戒告と訓告について調べる際に注意したいのが、
「誰に対する処分なのか」
という点です。
公務員の場合は法律や条例、規則などによって懲戒制度が整備されています。
一方、民間企業では就業規則によって、
「戒告」
「譴責」
「減給」
「出勤停止」
「懲戒解雇」
などの処分が定められていることがあります。
そのため、会社によっては「戒告」の具体的な意味や位置づけが異なる可能性があります。
ニュースで処分内容を見る場合も、国家公務員なのか地方公務員なのか、民間企業の従業員なのかを確認すると理解しやすくなります。
「戒告処分」は軽いから問題ない?
戒告は懲戒処分の中では比較的軽い処分ですが、だからといって「単なる注意」と同じではありません。
正式な懲戒処分として行われる戒告の場合、問題行為について組織が正式に責任を問ったことになります。
例えば公務員について、
「停職や減給にはならず戒告だった」
というニュースがあった場合、
「処分されなかった」のではなく、「懲戒処分の中では比較的軽い戒告という処分を受けた」
と理解するのが適切です。
一方、「訓告」だった場合には、一般的には懲戒処分より一段階軽い注意・指導上の措置として扱われている可能性があります。
ニュースを見るときは処分名だけで判断しない
「戒告」「訓告」「厳重注意」などの言葉は、ニュースでも頻繁に登場します。
しかし、処分名だけを見て、
「ものすごく重い処分だ」
「ほとんどおとがめなしだ」
と判断するのは注意が必要です。
同じような名称でも、対象者や所属組織によって制度上の位置づけが異なることがあるからです。
ニュースを見る際には、
誰が処分されたのか
どの法律・規則に基づくのか
懲戒処分なのか、それ以外の措置なのか
まで確認すると、その処分の意味がより正確に分かります。
まとめ|戒告と訓告の違いは「正式な懲戒処分か」がポイント
戒告と訓告は、どちらも問題行為について本人を戒める意味を持つため、混同されやすい言葉です。
大きな違いは、正式な懲戒処分に当たるかどうかです。
国家公務員の場合、戒告は国家公務員法で定められた正式な懲戒処分で、
免職 > 停職 > 減給 > 戒告
の中では最も軽い処分です。
一方、訓告は法律で定められた懲戒処分ではなく、一般的には懲戒処分に至らない場合の注意・指導措置として使われます。
したがって、
「戒告と訓告はどちらが重い?」
と聞かれた場合には、一般的には戒告のほうが重いと考えてよいでしょう。
ただし、地方自治体や学校、民間企業などでは、それぞれの規程によって処分の名称や位置づけが異なる場合があります。
ニュースで「戒告」「訓告」という言葉を見かけたときには、処分名だけでなく「正式な懲戒処分なのか」まで確認することが重要です。
※この記事は日本における懲戒制度などについて一般的に解説したもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。


