カスハラとクレームの違いとは?どこからがカスハラ?具体例をわかりやすく解説

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ニュースやSNSなどで「カスハラ」という言葉を耳にする機会が増えています。

一方で、

「普通のクレームとカスハラは何が違うの?」
「店員に強く苦情を言ったらカスハラになる?」
「どこからがカスハラなの?」

と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、クレームは商品やサービスなどに対する苦情・改善要求を含むものですが、要求内容や要求の仕方が社会通念上不相当で、従業員の就業環境を害するようなものがカスタマーハラスメント(カスハラ)に当たり得ます。

つまり、

クレーム=商品やサービスなどへの苦情・要求
カスハラ=要求内容や言動の手段・態様が不当・過剰になり、従業員の就業環境を害するもの

と考えると違いがわかりやすいでしょう。

この記事では、カスハラとクレームの違いや、どこからカスハラになるのかを具体例とともにわかりやすく解説します。

カスハラとクレームの違いを簡単に比較

まずは両者の違いを表で見てみましょう。

項目 クレーム カスハラ
意味 商品・サービスなどへの苦情や要求 顧客などによる社会通念上不相当な要求・言動
要求内容 正当な場合もある 妥当性を欠く要求を含む場合がある
言い方 冷静に伝えるケースもある 暴言・威圧・脅迫などを伴うことがある
時間 必要な範囲で行われる 長時間拘束するケースもある
従業員への影響 改善につながる場合もある 就業環境を害する
具体例 「注文した商品と違います」 「土下座しろ」「SNSで晒すぞ」など

最大のポイントは、「苦情を言ったかどうか」だけでカスハラが決まるわけではないということです。

商品やサービスに問題があれば、消費者が事実を伝えて改善や交換、返金などを求めること自体は珍しいことではありません。

問題となるのは、要求内容や要求する際の手段・態様です。

クレームとは?

クレームとは一般的に、商品やサービス、企業の対応などに対して顧客が苦情や要求を伝えることを指します。

例えば、通販で注文した商品とは違う商品が届いた場合に、

「注文した商品と違うので交換してください」

と伝えるケースです。

ほかにも、

「料理の中に異物が入っていました」

「予約した部屋と違います」

「請求金額が間違っています」

など、商品やサービスに実際の問題があれば、顧客が店や企業に申し出ることは当然あり得ます。

企業にとっても、こうした意見から商品の欠陥やサービス上の問題に気付けることがあります。

そのため、クレーム=すべて悪質な行為というわけではありません。

カスハラとは?

カスハラは「カスタマーハラスメント」の略称です。

厚生労働省の資料では、顧客等からのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性に照らして要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当であり、それによって労働者の就業環境が害されるものをカスタマーハラスメントとして整理してきました。

さらに法改正によって、事業主にはカスタマーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が求められる方向となり、企業側の対応もより重要になっています。

カスハラとして問題になりやすいのは、例えば次のような行為です。

  • 店員に大声で怒鳴る
  • 「バカ」「無能」など人格を否定する
  • 土下座を要求する
  • 長時間にわたって従業員を拘束する
  • 同じ内容の電話を何度も繰り返す
  • 「SNSで晒すぞ」などと脅す
  • 従業員の個人情報を聞き出そうとする
  • 必要以上の謝罪や金銭を要求する
  • 従業員につきまとう

重要なのは、顧客側に不満を持つ理由があったとしても、何をしても許されるわけではないという点です。

正当なクレームがカスハラになることもある?

ここが特にわかりにくいポイントです。

実は、最初の要求そのものには理由があっても、その伝え方や要求の続け方によってカスハラに当たり得ます。

例えば飲食店で注文した料理とは違うものが提供されたとしましょう。

客が、

「注文したものと違うので交換してもらえますか?」

と伝えるのであれば、通常の申し出と考えられます。

ところが、

「どう責任取るんだ!」

「店長を今すぐ呼べ!」

「土下座しろ!」

「慰謝料として10万円払え!」

などと要求がエスカレートしていけば話が変わってきます。

つまり、

「苦情の原因が店側にあるか」と「客側の言動が適切か」は別の問題

として考える必要があります。

店側にミスがあったからといって、暴言や脅迫などが正当化されるわけではありません。

どこからがカスハラになる?

「ここからカスハラ」という単純な線引きがあるわけではなく、個別の状況によって判断されます。

ただし、判断するうえでは大きく分けて、

要求内容に妥当性があるか

そして、

要求するための手段・態様が社会通念上相当か

が重要なポイントになります。

要求自体に妥当性がないケース

例えば、

「購入して10年使った商品を新品に無料交換しろ」

「店員の態度が気に入らないから100万円払え」

など、企業側の商品・サービスとほとんど関係のない要求や、明らかに過大な要求などです。

要求方法に問題があるケース

要求そのものには一定の理由があったとしても、

「土下座しろ」

「お前をクビにさせる」

「家まで行くぞ」

などの暴言・威圧・脅迫的な言動を行えば、カスハラに当たる可能性が高まります。

したがって、カスハラかどうかは**「何を要求したか」と「どのように要求したか」の両方を見ることが重要**です。

カスハラになりやすい具体例

実際にはどのような行為が問題になるのでしょうか。

暴言・人格否定

「こんなこともできないのか」

「お前はバカなのか」

「無能な店員だな」

など、商品やサービスとは関係なく従業員個人を攻撃する行為です。

問題点を指摘することと、従業員の人格を否定することは別です。

長時間の拘束

一つの問題について何時間も謝罪や説明を要求したり、電話を切らせなかったりするケースです。

最初は正当な問い合わせだったとしても、必要以上に長時間拘束すれば業務に大きな支障が生じます。

土下座を要求する

店員や責任者に、

「誠意を見せろ」

「土下座して謝れ」

などと要求する行為です。

単なる謝罪要求を超えて、従業員に過度な精神的苦痛を与える可能性があります。

SNSへの投稿を利用して脅す

最近特に注意したいのがSNSです。

「対応しないならSNSで晒す」

「この店を炎上させるぞ」

などとSNSへの投稿を材料に要求を通そうとするケースです。

もちろん、消費者が体験や意見をSNSに投稿すること自体が直ちにカスハラになるわけではありません。

問題になるのは、それを相手を威圧して要求を実現するための手段として使う場合などです。

過剰な金銭要求

実際に損害が発生している場合には、返金や補償が必要になるケースがあります。

しかし、小さなミスに対して非常に高額な慰謝料を要求するなど、被害と比べて著しく過大な要求を行えば問題となる可能性があります。

「店長を呼べ」はカスハラになる?

「店長を呼んでください」と言っただけで、直ちにカスハラになるとは限りません。

担当者では判断できない問題について責任者への確認を求めることは、通常の問い合わせでもあり得ます。

一方で、

「今すぐ店長を呼べ!」

「店長を出すまで帰らない!」

「店長をここに呼んで土下座させろ!」

など、威圧的な言動や長時間の居座り、過度な謝罪要求などが加われば、カスハラに当たり得ます。

つまり、特定の言葉だけではなく、状況や言動全体から判断されるということです。

「SNSに書く」はカスハラになる?

これも一概にはいえません。

「今回の対応についてSNSに感想を書く」というだけなら、直ちにカスハラになるとは限りません。

しかし、

「無料にしないならSNSで晒す」

「要求を聞かなければ店員の顔写真を拡散する」

など、相手を怖がらせて要求を通すために使えば問題になる可能性があります。

SNS時代だからこそ、企業側だけでなく消費者側も発信方法には注意が必要です。

カスハラは犯罪になることもある?

カスハラという言葉は広い範囲の迷惑行為を指しますが、行為の内容によっては単なる「マナー違反」では済まないことがあります。

例えば、

  • 暴力を振るう
  • 物を壊す
  • 相手を脅迫する
  • 無理やり金品を要求する
  • 店から退去するよう求められても居座る

といった行為については、状況によって暴行罪、傷害罪、脅迫罪、恐喝罪、不退去罪、業務妨害に関する犯罪などが問題になる可能性があります。

ただし、実際に犯罪が成立するかどうかは具体的な状況によって異なります。

「カスハラ=犯罪」という意味ではない点にも注意しましょう。

カスハラとクレーマーの違いは?

「クレーマー」という言葉もよく使われます。

一般的には、企業や店舗などに繰り返し苦情を申し立てる人や、過剰な要求をする人を指して使われることがあります。

一方、カスハラは人そのものではなく、顧客などによる問題のある言動に着目した言葉です。

そのため、

「クレームを言った人=クレーマー」

「クレーマー=必ずカスハラをしている」

と単純に決めつけるのは適切ではありません。

正当な理由があって冷静に改善を求めている人まで「クレーマー」と扱わないことも大切です。

カスハラとクレームに関するよくある質問

Q. 苦情を言っただけでカスハラになる?

通常、苦情を伝えただけで直ちにカスハラになるわけではありません。

商品やサービスに問題があれば、事実を説明して交換や返金、改善などを求めることはあり得ます。

重要なのは要求の内容と伝え方です。

Q. 大声を出したらカスハラ?

状況によりますが、大声で威圧したり、従業員に恐怖を与えたりするような言動はカスハラと判断される可能性があります。

不満があっても、できるだけ事実と希望する対応を冷静に伝えることが大切です。

Q. 何分以上クレームを言ったらカスハラ?

「○分を超えたらカスハラ」という全国共通の単純な基準があるわけではありません。

同じ内容を長時間繰り返したり、必要な説明が終わっているのに対応を強要し続けたりするなど、時間だけでなく状況全体から判断されます。

Q. 返金を要求するとカスハラ?

返金を要求しただけでカスハラになるわけではありません。

商品に不具合があるなど正当な理由があれば、返金を求めるケースはあります。

一方、根拠なく法外な金額を要求したり、暴言や脅迫によって金銭を要求したりすれば問題となります。

クレームを伝えるときに気をつけたいこと

カスハラと誤解されないためにも、店舗や企業へ苦情を伝える際は、

「何が起きたのか」
「何が問題なのか」
「どのような対応を希望しているのか」

を整理して伝えることが大切です。

例えば、

「昨日購入した商品を開封したところ部品が入っていませんでした。交換していただくことはできますか?」

というように、事実と希望する対応を分けて伝えると話がスムーズです。

感情的になって相手を攻撃するよりも、問題解決につながりやすくなります。

まとめ|カスハラとクレームの違いは「要求内容と伝え方」がポイント

カスハラとクレームは同じものではありません。

簡単に整理すると、

クレーム=商品やサービスなどに対する苦情・要求

カスハラ=要求内容や要求の手段・態様が社会通念上不相当で、従業員の就業環境を害するもの

という違いがあります。

商品が壊れていた、注文内容が違った、店側の説明に問題があったなどの場合に、消費者が改善や適切な対応を求めること自体が直ちにカスハラになるわけではありません。

一方、正当な苦情から始まったとしても、暴言、脅迫、土下座の強要、長時間拘束、過剰な金銭要求などへエスカレートすれば、カスハラに当たり得ます。

覚えておきたいのは、

「苦情を言うこと」と「相手を攻撃すること」は違う

という点です。

カスハラか通常のクレームかを判断するときは、苦情があったかどうかだけではなく、「何を求めたのか」「どのような方法で求めたのか」「従業員の就業環境にどのような影響を与えたのか」を総合的に見ることが重要です。

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