日本の皇族は皇室とも呼ばれますが、国王や女王が存在する国ではこれを王室と呼びます。
では、皇室と王室の違いは何でしょうか? その疑問を感じたことはありませんか?
一見、日本の「皇室」と海外の「王室」は似ているように思えるかもしれません。
しかし、実際には明確な違いがあります。
早速、この違いを説明しましょう。
日本の皇室
日本の皇室は、その起源を天照大神(あまてらすおおみかみ)にさかのぼります。
天照大神は八百万の神々の中でも最高神であり、天皇の始祖神です。
つまり、皇室の人々は天照大神の子孫であり、天皇もこの血統を引き継ぐ者だけがなれるのです。
王室について
一方、皇室が天照大神の血統を継承しているのに対し、外国の王室はそうではありません。
その国で戦争が起こるたびに、勝利者が国王となり国を治めてきました。
何世代にもわたって世襲で王室を維持してきた国もありますが、異なる民族によって倒されることや、戦争に敗れて王が変わることも多々ありました。
したがって、各国の王の血統や出自は異なります。
これが日本の皇室と海外の王室の明確な違いなのです。
皇室と王室の役割
日本では、長らく天皇を頂点に据える皇室が存在していましたが、実際の政治権力は鎌倉幕府や江戸幕府などの将軍が握っていました。
そして、日本が民主国家になってからは、総理大臣が政治の実権を持っています。
これは他国も同様で、王室が存在する国々でも、大統領や首相が実際の政治権力を持っています。
さらに、天皇や王は君主と呼ばれ、君主が存在する国を君主国、君主がいない国を共和国と呼びます。
君主制とは?
君主制とは、一人の支配者が国家を統治する形態で、君主が唯一の主権者である体制のことです。
君主制には絶対君主制と立憲君主制があります。
絶対君主制と立憲君主制の違い
絶対君主制は君主が絶対的な権力を持つ政治体制です。
例えば、サウジアラビアやオーマンが該当します。
一方、立憲君主制は君主の権力を憲法によって制限する政治体制です。
日本も立憲君主制国家です。
代表的な国はイギリスで、民主主義国家のモデルとされています。
イギリスの王室と日本の皇室の違い
日本とイギリスは同じ立憲君主制国家ですが、両国の王室と皇室には違いがあります。
最大の違いは私有財産の有無です。
日本の皇室は第二次世界大戦後、私有財産を持つことが禁じられていますが、イギリスの王室は私有財産を持っています。
故エリザベス女王の純資産は5~6億ドル(日本円で約550億円から660億円)とされていて、広大な不動産も所有していました。
これは私有財産を持たない日本の皇室とは大きな違いです。
ヨーロッパの国王たちは、多くの財産を持っていることが多く、例えばベルギーのフィリップ国王は約14億円、スペインのフェリペ6世国王は約22億円、スウェーデンのカール16世グスタフ国王は約77億円の資産を有していると言われています。
王室と皇室の違いのまとめ
日本の皇室は、天皇の血統によって完全な世襲制が維持されています。 どんなに権力を持っていても、天皇や皇族にはなれません。 (民間から皇族に嫁いだ美智子皇后や雅子妃殿下は例外です)
一方、海外の多くの王室は、その時代に実権を握った者の家系です。
このように、日本の皇室と外国の王室は一見似ているようで、実際には大きく異なります。